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「やめたほうがいいと思うけど?」
拳を振りかざしてる俺に女子が声をかけてきた。
さっき話しかけた女子とはまた別の奴だ。
「こんな冷たい水の中で無駄な体力を使う方が馬鹿げてるわよ。それともそんなに死にたいの?」
この女は他の連中と違い苦しそうな表情を見せていなかった。
俺はとっさに目の前の男を掴んでいる手を離した。
バシャッ!
「くっ!マジうっとうしぜこいつ!」
男はそう言って俺から距離をとって行った。
そして俺はこの女子に一言お礼を言う。
「わ、悪い。つうかみっともない所を見せちまったな。
でも殴る前で助かった。」
すると女は俺を見ながら言う。
「別に礼を言われる事じゃないわ。目の前で死に向かっている人がいたら誰でも助言くらいはするでしょ?」
確かに・・・・・・。
「俺藤井真斗・・・・・って名乗っても仕方ないよな。」
「私は戸田華凛。自己紹介くらい別に何て事ないと思うけど?」
・・・・・・この3時間目に来て初めて俺の意思が通じた。
「だ、だよな。こんな時だからこそ助けあわないといけないよな。・・・・・・ちくしょうそれなのにさっきの奴・・・・・・。」
俺は再び男を見るが、華凛は俺の後ろから声をかける。
「私はあなたが全て正しいとは言っていない。むしろこの状況じゃあの人が言ってる事の方が正しいと思うけど。」
!!!
「あなたがどれだけ正義感を持って行動しても誰も助けられなければただのお節介。
普通の人の目には偽善的な行動に映るのは当然の事だと思うけど?」
俺・・・・・・そんなに偽善的なのか?
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