晴れた日に

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下校のバスを待つ間、空を見上げる。 クラスメイトは殆ど、地元の子達だ。一人でバスを待つことが多い。 海が見える。 夕焼けの空―。 この時間のこの景色が大好きだ。 『今日も一日終わったなぁ。』 「なんか見えんの?」 「えっ?」 顔をあげると、同じ地元のひとつ上の先輩だ。 「いつも、空見上げてるよな?」 「景色見てるだけ…です。」 いつも、話しかけられることがないから恥ずかしい。 「そう?」 「うん。」 「んで、何考えんの?」 「…。今のは、今日も一日終わったなぁって。」 「今のは、って言うことはやっぱ考えてるんだ?」 「考えていることもあるかな?」 「高校生活どうやってすごそうとか?」 『ドキッ!バレてる。』 「はぁ。」曖昧に返事をする。 「ゆーりぃ。だよな?」 幼い頃呼ばれた名前にびっくりする。 「はい…。えっと…?」 「真司。」 「真ちゃん?」 「うん、お帰り。」 幼い頃よく遊んだ幼なじみだ。 「解んなかった。ごめん。」 「まぁ、いいよ。友達まだ、出来んの?」 「人見知りも酷いし…。仲良くなっても、すぐ転校ばかりしてたから…。」 「変わってねぇな。頑張って話しかけろよ。」 「うん。」 ちょうど、バスが来た。それぞれ、自分の好きな所へ座る。 私は左手に海が見える席へ座り、幼い頃を思い出していた。
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