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皆より早くバスは着くため、教室の窓から空を眺めじっくりと一人考えていた。
『ゆーりぃ…。か、こっちでは確かに呼ばれてたよな…。』
「斎藤さん、おはよう。」とクラスメイトの挨拶で我に帰る。
「おはよう。数学の三問目教えて。」
人見知りの私でも、お互いに時間が早い為、話せるようになった。
「この間バス停でさ、山口先輩といた?」
ドキッとしながら、「地元一緒だからね。」
『見られたか。』
「二人が話してんの初めて見たからさ。」
「そう?」
中村くんは反対方向のバスに乗る。時間帯はほぼ変わらない。
「いつもありがとう助かる。」と、報酬代わりの飴玉を二個渡し、先ほどの窓で空を眺め、どうやって皆と話せるようになるか考えていた。
「斎藤さん、山口先輩見てんの?」
「空だよ。」
「私、空と海が好きでこの高校に編入したんだ。」
「ふーん?山口先輩ってさ、いつも一人で陸上の朝練してるよ。最後の大会近いし。」
「そーなんだ。」
再び空を見上げる。『頑張って、真ちゃん…。』
賑やかな声が聞こえだした。クラスメイトが次々と教室へ入ってきた。
『取り敢えず、挨拶頑張ろう。』
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