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学校につくと「おはよー」「昨日出された宿題やった?」などとちらほらいつも通りの会話が耳に入る。
私はそんな微笑ましい光景の裏、今にもこみ上げてくる胃液を抑え下駄箱を開ける。
――そこからが私の非日常の始まりだ。
空っぽの下駄箱の中には唐紅色の封筒が入っていた。
差出人は不明。
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おはよう僕のカノ
体の調子はよくなったの?
昨日はいきなり倒れるから心臓止まったかと思ったよ
本当は僕も一緒に早退したかった
弱ったカノをね、僕がずっっと傍で見守って優しく介抱するの
でもきっと我慢できなくて襲っちゃうだろうな
カノの肌は僕の手を吸い付けて離してはくれないから
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今すぐにでもビリビリに破り捨てて塵となったそれを更に踏み潰してやりたい。
最後の一文、まるで私に触れたことがあるような言い方だ。冗談じゃない。
朝から気分悪い。
私はそれを鞄の奥底にしまって上履きを取り出し教室に向かった。
何故下駄箱があるにも関わらずわざわざ上履きをそこにしまっているかと言うと、これには不快(深い)わけがある。
ある日のこと、下駄箱を開けると直ぐに違和感を抱いた。
昨日最後に私が見たものよりも遥かに綺麗になっていた。
寧ろ新品? ってぐらい汚れ一つない私のものである上履きがとてつもなく気味悪かった。
そして、あの唐紅色の封筒がこれみよがしに私の視界に入る。
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僕からカノにプレゼント
カノから僕にプレゼント
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たった2文。
されど2文。
得体の知れない恐怖を感じた。
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