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察すると、このふざけた手紙の差出人が私の上履きと新品の上履きをすり替えたようだ。
私の上履きが別の誰かの手にあると思うと何に使われるか気が気じゃない。
その日から私は二度とこんな気持ち悪いことがないよう毎日上履きを持って帰ることにした。
ついで、家から学校まで履いてきた靴も持ち歩くように。
だから次第に手紙の存在は薄くなり、下駄箱前を素通りしてく日々が続いた。
数週間後、私は嫌なものを見た。
下駄箱の隙間からチラリ目につく紅色の切れ端。
恐る恐る人目を気にして手を取ってみれば……
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今日も読まれない手紙を僕は書く
カノは僕の気持ちを試してる
生かさず殺さず僕を泳がしてるんだ
そんなんで僕が君を嫌うわけないのに
君は分かってない
僕がどれだけ君に恋い焦がれているか
こんな安い言葉しか僕は知らない
世界で一番愛してるよ
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全身が寒気で覆われた。
私は自分の中の恐怖心と戦い勝利を掴み、そーっと下駄箱の中身を覗けば、戦いはこれからなのだと思い知る。
同じ封筒が何通も入っていた。
日付が書かれていないのにも関わらず、いつ書いたものか嫌でも分かってしまった。
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僕のカノは最近ダイエットをしている
そんなことをしなくても十分魅力的だよ
それよりも僕は君がそれで体を壊さないか心配だ
君はそうでなくともつついたら折れてしまいそうなぐらい儚いのに
夕食のおかずをヨーグルトで済ませた君が本当に心配で心配で夜も眠れない
僕が先に体を壊しそうだ
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浮気しないでよカノ
君は僕のモノでしょ
何で田口なんかと電話してんの
あいつのこと好きなの?
僕のことを放ったらかしにしといて酷いよ
カノのせいで僕の手はボロボロだよ
ほら、見て
こんなになっちゃった
皆皆カノのせいだから
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