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春、まだ寒い日が続くなか入学式は行われた。
私はコートやマフラーが手放せないというのに教師たちは式だから脱げと、しつこく言ってくるので、生徒は恨めしい目を逆恨みだとわかっていても教師に向ける。
もちろん私もその中の一人だ。
日が射していれば少しは暖かいかもしれなかったのに生憎の雨。
風も強く、もしかしたら雪に変わってしまうかも………。
それなのに暖房器具一つない体育館で冷たいパイプ椅子に何時間も座り続けなければならないし、寒さからくる睡魔とも闘わなくてはならない。
これは生徒からしてみれば一種の拷問だ。
「明日から授業がありますので、帰りに自分のクラスを確かめてから帰宅してくださいね」
どうやら入学式が終わってくれたみたいだ。
そそくさとコートに腕を通し、マフラーを首に巻いて体育館を飛び出す。
早く温まりたい。
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