509人が本棚に入れています
本棚に追加
「あっ…。 ごめんなさい、俺―――…」
私は何も答えず、その場を離れていった。
「こぢょさんっ!!!!」
後ろから、ツバサの声が聞こえる。
でも、私は振り返らなかった。
「…俺、アドレス変わってないんで。 いつでも、連絡待ってますからッ!!」
電話番号もメールアドレスも…
私の携帯電話には、何も残っていない。
黙ったまま、駐車場へ向かった。
あの日から、私は涙を流していない。
上手く出来ているかは分からないが、常に笑うことを意識していた。
ニコニコしていれば、相手は危害を加えない。
イレギュラーな出来事がない限り、周りに嫌な思いをさせることも最小限で済む。
別に、強がってなんかいない。
笑っていることによって、喜んでくれる人が居る。
私の気持ち的にも、とても楽だ。
仕事でも、プライベートでも、それは同じ。
…でも、今のは危なかった。
最初のコメントを投稿しよう!