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私達は同じ環境で育った。
兄弟としてではなく、姉妹としてではなく、兄妹としてでもなく、姉弟としてでもなく……。
私達は同い年ではあったけれど、それでも双子ですらなかった。
そんな意味のわからない私達は、どう言い表すこともできない私達も詰まるところはやはり家族であって、父がいて、母がいて、普通の家族として機能していた。
テレビを見て笑って、ホラー映画を見て泣いて、悪戯をしてほくそ笑んで、怒られて泣いて、喧嘩をして仲直りして取っ組み合って、いつからか私は負けてばかりになって……。
一緒に住んでいるというのに顔を合わせない時期もあって、同じ環境に生きているのに何故こうも私達は違って、異なってしまったのかと悩んだりもして――でも、そんな毎日が不思議と楽しかった。
私達はあれほど喧嘩して、取っ組み合って、罵り合って、蔑み合ったけれど、それでも絶対に二人は一緒に居られるんだと信じていたし、互いに信じていることを知っていた。
そんなふうに当たり前に一緒にいたものだから、もういつからなのかとかはっきりとは判らないのだけれど――私は彼が私のことを好きだということを知っていたし、彼は私が彼のことを好きだということを知っていた。
父も、母も、そのことを知っていて、反対もなんかせず、むしろ見守ってくれていた。
だから、悪気も、悪意も、そんなものは微塵もなかったのだろうと思う。
でも、結果的に、それは、裏目に出てしまう。
「誰にとって“裏目”か」って?
それは……もう、色々と――かな…
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