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「専門家?」
「そうだ。ナイツ本国でも調査が行われる。この怪現象は向こうに任せる」
確かに門外漢の男二人では一国の抱える専門家には敵うすべもない。
「……まぁ、そうだな。
じゃあ俺らは引き続き奴らの監視を続けるのか?」
「それなのだが、な」
珍しくロベルトが歯切れ悪く呟いた。
「本国からもそのように言われてるのだが……」
「なんだ、だったらそうすりゃいいじゃねぇかよ」
「実は、な。子猫ちゃんからの情報があるのだ」
「お、出たな。いとしの子猫ちゃん。てか、こんなとこでも話せるんかい」
「うむ。相変わらずの雑音に加え、こちらの話は一切聞いてもらえない一方通行メッセージだがな」
「で、なんだってんだ?」
「それが、な……」
ロベルトは誰に聞かれる訳でもないはずなのに声を潜めて話をする。
「……そりゃあ、相変わらずよくわかんねぇ話しだなぁ」
「うむ。今まで散々世話になってきたが、話が話だ。無条件に信じてよいやら……」
困惑顔のロベルト。その肩をポンと叩きながらチルが軽い調子で同意を求めた。
「でも、行くんだろ?」
「…………」
「俺は構わねぇぜ。それがきっとアイツを助けることになるし、な」
「ふむ、そうだな。傀儡兵をこれ以上増やさないことは本国の指示とも合致する。現状指を加えて見ているだけよりは行動したほうが建設的だな」
「おっしゃ。じゃ、行くぜ」
「やれやれ、逃走劇のあとは山脈踏破と来たか。まったく、君といると本当にせわしないな」
「そりゃ、俺じゃなくて子猫ちゃんに関わるとじゃねぇのか?」
ウニャ?
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