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それまで、洋輔は新しい妖武具を手にしても、すぐには使う事が出来なかった。
だが今回は、手にしてすぐに使いこなしていた。
洋輔に駆け寄った神奈も、それに驚いている。
それは、洋輔が進化したのでは無い。猫又によって引き出された、洋輔の中にある折原家の血筋の力なのだろう。
「そうだ、カラス天狗」
雪女の弓を使えた事で、洋輔と神奈は喜び合い、カラス天狗から意識を外していた。
洋輔が、それに気付く。
二人と一体は、すぐにカラス天狗が転がっていた方へと視線を移す。
だが、そこにカラス天狗の姿は無かった。
「これでは、一旦引くしか無いか……」
カラス天狗は、既に上空へと舞い上がっていた。
その半身は、凍り付いたままだったが、翼だけは無事だったようだ。
「待て、カラス天狗よ」
飛び去るカラス天狗に、次郎丸は呼び掛けた。だが、カラス天狗はそのまま飛び去ってしまう。
洋輔と神奈は、ただそれを見送った。
このまま戦闘を続けても、封じる為の武具が無いからだ。
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