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さらに景虎は、
「今、正式に景竜の家臣を決めたい。普通なれば私が指名するところだが、今回は立候補制に致す。誰か、景竜めの家臣になるという者はおらぬか。」
家臣はざわめく。
すると家臣の一人が、
「私、本庄実乃(ほんじょうさねより)が景竜様の家臣になりとうございまする。思えば、私は御館様の兄君、春景様が長尾家の主であった時より栃尾城にいらっしゃった御館様に仕えてまいりました。また、栃尾城にて次なる主君に仕えることができるのは何らかの運命のようなものさえ感じまする。御館様。是非とも私にその任をお任せくださいませ。」
景虎は頷く。
「確かに、実乃が景竜の家来となるならば心強い。景竜の事を頼んだぞ。」
「はっ。」
景虎は、
「早速だが明日、景竜と共に北条討伐に出てくれ。北条は恐らく油断しておるだろう。そこを叩くのだ。願わくば、氏康めの首をとって参れ。わかったな。」
実乃は再び力強く、
「はっ。」
景虎は伝える事がすべて終わったのか立ち上がる。
「今日はこれで終わりだ。景竜。お主の活躍期待しておるぞ。」
そう言い残し立ち去って行った。
それに続いて家臣団も景竜に一礼して、続々と帰って行く。
数分後、景竜と実乃、金次郎、銀次郎のみとなった。
実乃は、
「若殿様、上座に御座りくださいませ。」
景竜に景虎が座っていた上座に座るよう勧める。
景竜は頷くと言われた通り上座に座る。
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