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景竜は、
「今日はこれにて解散。」
その合図で三人は帰って行く。
しかし、
「銀次郎には別に話があるんだ。残ってくれ。」
景竜は銀次郎を呼び止めた。
銀次郎は、
「わかりました。」
実乃と、金次郎がいなくなり、景竜と銀次郎だけになる。
景竜は、
「金次郎の事をもっと教えて欲しい。北条との間に何があるのかとかな。」
銀次郎は驚く。
てっきり金次郎の事について何も考えていないと思っていたからだ。
「若殿様…。」
景竜は笑う。
「まさか俺が何も考えていないとでも思ったか。金次郎には借りがあるんだ。」
銀次郎は、
「すみません。」
景竜は、
「気にすんな。……で、金次郎には何があるんだ。」
銀次郎は、
「兄上は北条氏康の娘、桂林の方と添い遂げられました。」
「北条の娘!?」
景竜は驚きのあまり叫んでしまう。
「兄上は昔、北条の忍としてご活躍なさっていました。兄上は仕事に忠実で私情を巻き込んだ事はほとんどありませんでした。しかし一度だけ、兄上は私情に負けなさいました。そう、桂林の方との出会いでございます。桂林の方を一目みた兄上は、一瞬で恋に落ちてしまわれた。兄上は桂林の方を手に入れるため、毎日桂林の方の部屋に忍び込んでいらっしゃいました。兄上は一流の忍。誰にも見つからず会う事ができたんです。そして桂林の方も段々と兄上を慕うようになり、二人は都へ二人の生活を始めるために向かわれることになりました。」
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