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次の日、景竜は朝早くに起床する。
「遂にこの日がきたか。」
景竜は大きく深呼吸をし、
「よしっ。」
まずは景虎からもらった鎧に身を包む。
鎧の着方は、銀次郎から教わっていたのでかなりスムーズにできた。
「重いな…。」
とは言うものの着慣れてはいなかった。
「次は髪だな。」
髪型も武士らしく決めるのにだいぶ慣れてきていた。
「これで完了。後は持ち物チェック……と。」
持ち物の最終確認を始める。
「危ねえ。危ねえ。景虎様から刀も頂いたんだった。」
景竜は景虎からもらった刀を腰にさす。
「これで大丈夫だな。」
未来から持ってきた兵器、そしてそれを使うための水。
それらも用意し終えた。
「長尾景竜いざ出陣!」
景竜はそう叫び、部屋をあとにした。
今回の北条攻めに参戦する者たちとの待ち合わせ場所は、栃尾城城門前だった。
景竜が到着するとすでに皆揃っていた。
「早いなあ皆。まだ待ち合わせ時間よりだいぶ早いぞ。」
すると実乃が応える。
「若殿様がいらっしゃる前にはここにいなければならないのは、常識で御座います。」
銀次郎や金次郎も頷く。
景竜は、
「ありがとうな。皆。」
今回ここに集まっているのは、
景竜、実乃、銀次郎、金次郎、そして実乃の側近二名、金次郎の一番弟子、金之助を含む、銀次郎や金次郎の一族の者たち十四名もいた。つまり総勢二十名での戦である。
実乃は、
「こんなに、少数で戦を仕掛けるなど長き戦乱の世と言えど、今回が初めてであり、これが最後でしょうな。」
その言葉に皆笑う。
金次郎は、
「まったくじゃのう。しかし、こういう状況も悪くはない。楽しみじゃ。」
景竜は頷き、
「皆、たとえ少数と言えども我々が狙うのは氏康の首のみ。小田原城に向けいざ出陣!!」
皆は一斉に、
「おおー!!」
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