決戦

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景竜らは小田原までは、信濃、甲斐を通るルートを選んだ。 最短は上野を通るルートだが、やはり長尾家の所領ではないため避ける事にした。 信濃は、景虎がかつて助けた村上や武田の下についていた真田など、武田を倒した事により長尾家につく事になった諸将が多くいるため比較的安全だった。 「移動が面倒だなあ。」 皆が出陣し始めてまだ十分たったかたっていない頃に、いきなり景竜がそう呟く。 実乃は慌てて、 「やはり籠でのご移動が良かったのでは。」 実は、北条攻めにあたり、景竜は籠ではなく、荷物は増やしたくないと、歩きを決めていた。 景竜は、ハッとして何かを思いついた様子。 「いや、もっと楽な手段がある事を思いついた。」 実乃は、 「何で御座いますか。」 景竜はドヤ顔を決めながら、 「聞いて驚くなよ?俺は瞬間移動を可能にした素晴らしい機器を持ってるんだ。」 実乃はキョトンとし、 「瞬間移動で御座いますか。」 景竜は頷き、 「どうして今までこの機器の存在を忘れていたのだろうか。よしっ見てろよ。」 景竜は例の球体を取り出し、使いたい部分に水をかける。 するととても大きな扉の形の機器が現れる。 「これは、ある作り話で流行った『何処でも扉』という機器さ。」 景竜は上手くこの時代の言葉で説明する。 「この扉に行きたい場所を伝えるとあら不思議。もうその場所に繋がってるという素晴らしい機器だ。」 しかし、皆信じられない様子でキョトンとしてしまっている。 そこで景竜は、 「試しに、一度春日山城に一瞬で連れて行ってやるぜ。」 そう言うと景竜は扉に向かって、 「春日山城に連れて行ってくれ。」 すると何処でも扉ががしゃんと鳴る。 「実乃。開けてみな。」 「はっはい。」 実乃は半信半疑で扉を開ける。 と、 「すっ素晴らしいです。間違いなくここは春日山城の前! 」 その言葉を聞き、銀次郎や金次郎も実乃に続き、 「こりゃあすごいのう。どういう仕組みなのじゃ。」 銀次郎も金次郎も声を上げて驚く。 景竜は、 「わかっただろ。この扉のすごさは。」 皆、頷く。 「そこで、この扉を用いて、一気に小田原城の城下町に行こうと思う。」
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