916人が本棚に入れています
本棚に追加
景虎は笑い出す。
「こやつめは間違いなく、間者ではないだろう。あまりに城になれておらん。」
「はっはあ……。」
あまり家来は納得してない様子だが黙ってしまった。
「お主は町民か。面白い道具を沢山持っているようだが、商人か。」
「はい。そうっす。えーまあ自分の家の店はちょっと前に閉めて、一応旅してたんっす。」
なんとなく話を合わせてみる。
竜也は我ながら上手い嘘だと思った。
「齢は? 」
「十五っす。」
「元服してるのか。」
「いや、まだっす。」
戦国時代が好きだったのが幸をそうし、なんの違和感もなく竜也は返答していく。
「最後になったが……お主の名は? 」
「多賀竜也と申します。」
「竜也か……。珍しい名だな。それとそうだな。お主は武士として使うつもりだが構わぬか? 」
竜也は驚いてしまった。
「俺が武士っすか!? 」
景虎は淡い笑みを浮かべる。
「お主はまだ十五だが、その面白き道具を用いれば間違いなく良い活躍をするだろう。
お主の手柄次第では家臣として取り立ててやってもよい。
そして、お主のために元服もさせてやろう。」
最初のコメントを投稿しよう!