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「ここら辺座って。」
囲炉裏の前に銀次郎を座らせる。
今は夏なので、囲炉裏に火をつけているわけではないが。
竜也は銀次郎の前に座る。
すごく居心地が悪い。
なぜなら銀次郎が竜也の顔を凝視しているからである。
「初めてお会いしたときから違和感を感じていました。竜也殿のその髪型。武士としてどうなのでしょうか。寝癖にしても、日頃から武士のたしなみである髷をしていらっしゃらないようだ。」
竜也は未来で流行っている髪をワックスでタワー状にするヘアースタイルにしていた。
「髷? んなだせぇことしねぇよ。」
銀次郎のお説教はおさまらず、
「竜也殿は時々意味の分からない言葉を申される。先程の【だせぇ】とはどう意味なのか教えていただきたい。」
竜也は銀次郎がめんどくさくて仕方がなかった。
なので【だせぇ】の意味を真面目に教えるのは面倒だと思い、
「髷が最近決まらなくて、休止中っていったんだ。」
と答えておいた。
銀次郎は納得したのか、
「成る程。確かに竜也殿の髪はどこか固そうであるし、長さもあまりないようですな。ならば私が明日から髷をー「嫌やめてくれ。それで今日は何しに来たんだっけか? 」
なんとか毎日銀次郎に、会わなければならない地獄を回避したいと思い、話題を変え、銀次郎が来訪した理由を聞き出すことに。
「うむ。景虎様の春日山城にある客がいらしてな……」
「ある客?」
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