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「つまり、戦になるわけだな。」
「左様ですな。そこで景虎様は竜也殿を軍師として用いるつもりだと。」
「軍師だと……?」
竜也は声を上げて驚いてしまった。
軍師とは大将の近くにいて、戦の進め方、主に作戦について提案する重要な役職だ。
「勿論、家臣の方々は大反対だったようだが、景虎様は竜也殿を信用すると何もお聞きにならなかったそうだ。」
景虎は何を考えているのか。
竜也には検討がつかなかった。
出会ってからまだ一日もたたない時点でそれを決めたのだ。
自分の何を買っているのか……?
しかし信用されたらその気持ちに応えたい……。
「景虎様は私に、竜也殿に戦が始まる前に長尾軍の構成、敵、武田軍の構成、その他必要事項を完璧に教えるように命じられました。」
「戦まではどのくらい?」
「それほど長くはないようです。武田の動きは止まる様子がない。しかも、景虎様はまだお若い。それと決めたらすぐに動き出す行動力を備えていらっしゃる。」
ある程度なら川中島の戦いがどのようなものかわかっているが、軍師になったからには、第一回だけで川中島の戦いの決着をつけさせたいと思った。
五回に渡る大戦は多くの死人をだし、農民たちは戦に駆り出されたため、稲作もろくにできず両国においてなにもよいことはなかったからだ。
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