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「入れ。」
景虎にそう言われると銀次郎は静かに入室する。
「銀次郎。竜也の様子はどうだ。」
「はい。竜也殿は軍師に任命されたのを大変重く受け取っていらっしゃり、日々の学習を怠らずに行っております。」
景虎は満足げに笑みを見せたのちに、
「そうか。しかし、ここに控えている皆は竜也を認めてはおらぬようだ。そこで銀次郎。竜也をすぐにここに呼んできてもらいたい。そしてここの者達の前で、あり得ぬような素晴らしい芸をやってみさせよ。もしも、良い芸が見せられぬようなことがあれば、竜也をこの国から追放する。」
家臣達はざわめく。
銀次郎も条件の過酷さに息を飲んだ。
「わかったら下がれ。」
「はっ!」
銀次郎はもう一度一礼し、失礼のないよう静かに部屋から退室した。
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