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竜也は考え続ける。
「この戦いは恐らく武田が敗北して退いていくだろう。そして、勢いづく景虎様は城をひとつ落とす。そしてもう一つ城を落としている最中に、先に落とした城を武田に奇襲で奪い返されてしまうんだ……。そして景虎様はある程度の成果を得られたと見なし、帰ってしまう……。つまり、この戦いで武田軍を壊滅できなければ、次の戦いは晴信は参戦しないし、その次も……。この戦でけりをつけなければ晴信の首はとれないかもしれない。」
竜也は、
「なんとしても晴信の首をとらなければ、この戦いの他にも4回の戦が起きてしまう。」
そして竜也は考えた。
隠し持ってきた球体に水をかける。
今回使う機器は連絡機器だ。
自ら戦に出ていってしまった景虎に連絡するためだ。
「景虎様聞こえますか。」
この連絡機器は対象者の脳に直接話しかけることができる。
「なんだこれは。またしても竜也の芸か。」
すぐに景虎も反応してくれた。
「どうしても話したいことがあるんです。」
「いってみろ。」
景虎は戦いながら竜也と対話する。
「今回の戦いは間違いなく我らが勝ち、武田方は退いていくでしょう。しかし、今回の戦ほど晴信の首を狙える機会はないと思うんです。無理をしてでも、退いていく武田軍を攻め立ててください。」
「うむ……。深入りは危険を伴うが、今回の軍師はお主だ。お主の提案を無視するわけにもいかぬ。わかった。ギリギリまで攻めよう。」
景虎は了承した。
しかし、
「そうとなると少し兵力が足らぬ。なんとか増強できぬか。」
侍製造機器は一万の侍を生んだら、全部が消えるまではもう一度使えない。
しかしここで景虎の言う通りにできなければ、かえって長尾軍が危ない。
「わかりました。なんとか増強できるようにします。」
「頼んだぞ。」
対話が切れた。
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