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「侍製造機器は使えない。いくら武器製造機器があっても、使う人間がいなきゃ意味がない……。」
考え込む竜也に蛾がとまる。
「うぜぇ!つくなよっ」
竜也は必死に蛾を払う。
「ん……蛾?あっ!あの手があったか!」
竜也はなにかを思い出した。
そして球体を取りだし水をかける。
今回使うのは、
「擬人化機器。これは昆虫、動物、魚、鳥ー。全ての生物を一定時間人間にできる。まあ、侍とか武士とかしゃれた格好にはできないが、武器があればなんとかなるだろ。」
擬人化機器は、懐中電灯のような形になっている。そして竜也は先程の蛾にライトをあてる。
すると蛾はみるみるうちに人間の形になっていく。数秒の後に立派な成人男性の姿に。ー…ただ、格好は22世紀風の姿だったが。
竜也は蛾人間に、
「武器製造機器で刀を1000本用意してくれ。」
蛾人間は頷き武器製造機器で刀を作っていく。
竜也はそのあいだに、飛んでいる鳶、近くを通った蟻、ダンゴムシ、うざったいハエ、蛾……一生懸命人間にしていく。
時間がないのだ。
なんとか景虎が武田追撃命令を出す前に1000の兵を作らなければ……。
「人間になったやつは、武器をもって並んでてくれ。」
擬人化した生物はよく言うことをきいた。
そのお陰もあり、スムーズに仕事は進みなんとか1000の兵を作り出した。
「よし。急いで長尾軍に加勢するんだ」
擬人化生物は夢中に走り出す。
竜也は急いで連絡機器で景虎に伝える。
「増援はまだか。急がぬと武田を逃がしてしまう。」
もう武田が退き始めていた。
「今、1000の兵を用意しました。格好は変かもしれませんが、刀をきちんと持っているし、運動能力も高いのでご安心ください。」
擬人化生物は皆運動能力が高い。特に命のやり取りに対してはその運動能力が光る。恐らく過酷な自然環境に生きているためだろう。
「わかった。今から我らは武田追撃に入る。狙うは晴信の首のみ!ゆけー!」
凄まじい音と共に連絡は切れた。
竜也は後は信じるのみだった。
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