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「んだよ兄貴かよ。」
ゼェゼェと髪を振り乱して同じくチャリを漕いで来たのは俺の兄貴である宮藤雪雄
「時雄お前、何で先に帰ってんだよ!一緒に部活見に行くっつってたろが!」
「何で部活入ってる兄貴が同伴すんだよ意味分かんねー。」
軽く足らってスピードを上げる。当然バテてる兄との差は開く。
「おいコラ待て…くっ、持病の花粉症が!ホラ!お兄ちゃん瀕死だよ!?気にして立ち止まってあげてもいいんじゃない?!」
「別に死ぬ程の病気じゃねーからそれ。」
変に動揺を誘う雪雄。流石に可哀想に思えたのか時雄はペースを落とす、
「最近調子悪りぃのは本当なんだよ~!頭ガンガンするし、まさか脳の病気かなぁ!?」
「いっそ死んじまえ。」
ピーピーうるさい兄貴を置いて俺は再度ペースを上げる。
もうお分かりだろうが、俺の兄貴は筋金入りのボケ役だ。顔の端正さも重なってか皆からの人気者だ。
中学の時はクラスの女子からラブレターを渡してなんて頼まれた事もある。(ちょっと淋しかった…)
まぁ俺も告白の二度や三度は受けてるワケで、別にあのクソ兄貴に劣ってるわけじゃ無い。(何をムキになってんだろ…)
「てか兄貴今日部活は?サボりかよ?」
「ん?だから言ってんだろ?調子悪りぃから病院で見てもらうんだよ!」
本当に調子悪かったんだ…。そーいやインフルエンザでも無理して学校に行って皆に伝染して自分だけ先に完治って事もあったな。
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