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暫くすると十字路で兄貴と別れた、兄貴が病院に行くからだ。未だに信じられない俺は鬼畜だろうか?
それから自転車を漕ぐ事3分。自宅に到着。郵便物を確認して数枚の封筒を手に玄関のドアを開ける。
靴箱の上に飾られているのは煌びやかなトロフィー、記念品や盾。俺の両親の物だ。
父親はプロ野球選手。母親は実業団でバレーチームのエースアタッカーだった。
家族は全員がスポーツをやっている。まぁ俺だけはやっていないが…
「あ、お帰り兄ちゃん。」
俺を一番に迎えてくれたのは妹の真希(まき)。小柄だが、女子バスケ【U-15】にも選ばれる程の天才。
因みに兄貴は二年ながらウチの高校で四番を打ってる。噂じゃ彼方此方の大学から誘いが来てるらしい。
そんなわけで、俺以外の家族は皆スポーツエリートなわけだ。
俺もスポーツの世界で『天才』と呼ばれたいが、結局は長続きしなかった。初めは面白くてもすぐに飽きてしまうからだ。
飽きて来るとその内練習をサボるようになり結局、
サボり癖→幽霊部員→サヨウナラ。と言うワケだ。
「兄ちゃん、高校で部活やんの?」
「まさか。俺はお前らと違って将来は大企業の重役になんだよ、」
イマイチカッコ悪いセリフだ。負け犬みたい。
「あっそ。勿体ないな~兄ちゃん、多分家の中で1番運動センスあるのに…」
「知ってる。だからやんねぇの、」
「調子乗りすぎ。」
おっとイカンイカン。褒められるとツイツイ頬が緩む。
「て事でさ、どーせ暇でしょ?」
「否定はせん。」
「じゃ決まりね。いつもの場所で!」
先に駆けて行く真希を追う様に俺は家を出た。
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