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◇
やって来たのは家から目と鼻の先にある総合公園。かなり広く、野球やサッカーのできるグラウンドや、ストリートバスケやテニスのコート。果てはラグビー場まである。
昔からよくここで俺達家族は遊んでいた。
その一角にあるストリートで俺と真希は睨み合っていた。
「今日こそ勝つからね兄ちゃん!」
「100年早ぇーよ。」
緩い空気で俺は脱力して真希の動きに集中力を研ぎ澄ます。
ダムダムと小気味良くドリブルして俺の様子を伺う。
バッ!
ボールが落下した瞬間に俺はボールを取りに手を伸ばす。だが真希はそれをレッグスルーで回避し加速、
キレのあるクロスオーバーで切り返し、左から右に高速で移動。一度シュートのフェイクを入れて俺を出し抜く。
「だっ!フェイクかよ!」
「残念でした兄ちゃん♪」
ターンアラウンドで本命のシュートモーションに入る。
が、
「爪が甘ぇんだよタコ。」
俺は着地後素早く態勢を整え再び跳躍。
「ゲッ!?」
バゴッ!
真希の放ったシュートは志半ばにアスファルトに叩きつけられる。
「あーも!何で追い付けんの!?絶対今のは私の勝ちだったじゃ!」
「フェイクがワザとらしーんだよ、日本代表さん。」
「悔しい~!」
「次は俺の番な。」
「絶対止める!」
鼻息荒く真希は構えた。
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