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けれど
ソレは来た
冷たい水で足冷やしながら
真っ直ぐ
暗がりの内から
水音がゆらゆらと
水面の月が
楽しそうにたゆたう
目の前にソレは…いた
大きく曲がった樹に腰掛けていると
ソレが見上げて
ゆっくり…笑う
「こんなとこで
どうしたの?」
声を出した
ソレに問われた答えを
答えようか
とどめようか
否
拒んでしまえば
楽しくない
けれど
哀しくもない…か……
自身の身体を抱く腕に
力を込めた
ゆっくりと静かに
憂いの水が
足元を揺らす
湧き立つ水が
ソレの足を蝕むんだ
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