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「暗くなかったら
冷たくなかったら
どうやって温かさや
明るさを知るんだろうね?」
“………”
「でも
君が避けるんなら仕方ないね
帰りたく無いんだよね」
どこか笑い事のような
声は紡ぐ
「だから 見ないんだね いらないね 」
そして紡ぐ声が
その手を離すように
「でもだったらー…
どうして残しているの?」
“…?……え…”
「見たくないから眼」
「だったら」
「聞く為の耳も必要無いよね」
厭な言葉を
聞かなくて済むからと
声が遠退く
「触れた感じも忘れられたら良いよね」
“…え…”
触れたら尚更忘れられない
空気が薄寒く包む
「全部…無くなって」
声の主の気配が揺らぐ
陰が迫るように感じた
「独り暗闇に溶け込んで…」
遠退く声 気配
“…待…って”
頬に残る温もりが熱を増す
けれど
胸には冷たいものが流れ込む
押して満ちて溺れ落ちそうで
“待って!”
手を伸ばしていた
………怖い
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