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とある飯場で食事番として働く奥さんは、毎日昼下がり、飯場での仕事で疲れた身体をコンビニで帰りに買ったおかずを摘まんで缶酎ハイでごまかす一時、仕事で毎朝早く寝込んでしまい、夢をみる。毎日同じ、夢をみる。
奥さんの息子は子供の頃に交通事故に遭ってから起き上がることが出来ず、奥さんが付き合いで買ったゼリーなど口許に運ぶと口を動かすのだが、それ以外寝たきりの植物人間なのだが、奥さんの夢のなかでは違うんだ。
…あの子は毎日、あんなふりをしてはいるけど、私の寝ている間に散歩に出かけているんだろう?
毎日どこまで出かけているんだろうね?
コンビニで奥さんが、ピザ味のお菓子を“これはおいしいのかい?”と訊ねた時、“これが旨いんですよ~”と答えた俺を見て奥さんは思った。
“いたっ!”あの子は交通事故に遭う前も、忙しい奥さんが今日はピザだから急いで帰ってきなさい、と言ったから、飛び出して事故に遭ってしまったんだ
あの子がいた!やっぱり…よっぽどピザが食べたかったんだろうね…歩いてこんなとこまで…
…俺のコンビニを舞台にした、奥さんの息子ごっこの始まりだった
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