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「君が何をしたというんだ!!」
もどかし気な表情で、ジェルジュは声を荒げた。
あまりにも激しいその眼差しに、ライアスは息を呑んだ。
「こんなことは間違ってる!そうだろう!?こんに酷い真似をされて、君は平気なのかっ!?」
なぜ怒らないんだという表情で、ジェルジュはわななく拳を握りしめた。
彼の剣幕に気(け)おされて数瞬黙りこんだ後、ライアスは長い睫を伏せて小さく微笑した。
「……いいんです……僕はこれで……罪を……償うために……この城に……来たんですから……今の境遇に……満足して……います……」
「なぜ、そんな風に思うんだ!!君の考えは間違ってる!!ジュリアードに洗脳されたのか!?君だって、好きでこの城に来たんじゃないはずだ!祖国を守るために仕方なく……そうだろう!?」
「確かに……始めは……そうでした……でも、今は……心から……帝王さまに……償いたいと……そう思って……います……僕を拷問して……帝王さまのお気持ちが……少しでも……晴れるなら……僕はそれで……満足です……」
激痛をこらえて眼差しをあげ、ライアスはけなげに微笑してみせた。
ジェルジュの顔が、泣きそうに歪む。
「君は……君はなんて子なんだ……!こんな心根の優しい子がなぜ……!」
感極まったように言葉をとぎらせ、ジェルジュは肩を震わせた。
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