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「ほざけっ!」
「舐めやがって……!」
「このクソガキがっ!」
挑発されたと思ったのか、帝国の騎士団が目を剥いて口々に少年をののしった。
いかつい顔を怒りにひきつらせてはいるものの、先刻と違って少年に襲いかかる者はいない。
少年の凄絶な剣さばきを目(ま)のあたりにして、迂闊に斬りかかれば返り討ちにあうだけだと十分承知しているのだろう。
「いい気なものだな、可愛い子ちゃん」
無理やり怒りを押し殺したような表情で、リーダー格の男が低く口を切った。
「そんな口がきけるのも今のうちだけだぞ。おまえの敵は俺たちだけじゃない。帝国配下のさまざまな妖精族も、おまえを狙って動き出している。おまえが帝都の城に辿り着ける可能性は万にひとつもない」
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