715人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………」
男の言葉など聞こえなかったかのような涼しい顔で、少年は再びピンクゴールドの小柄に手を伸ばした。
何事か口の中で小さくつぶやくと、小柄は眩い光を放ってピンクの薔薇に変わり、スウーッと少年の胸もとに吸い込まれて元の紀章に戻った。
無視されたのが気にくわないのか、リーダー格の男は悪意に満ちた眼差しでそんな少年を眺め、なおもねちねちと言いつのった。
「遅かれ早かれ、おまえは捕らえられて俺たちの慰みものになるんだ。これほどの美貌なら、帝王さまのお目にとまるかも知れぬな。帝王さまは美しい者がお好きな方だ。たっぷり可愛いがってもらえ。おまえたちの王子のようにな……」
「黙れっ!」
冷淡な表情で聞き流していた少年が、ふいに激情をたぎらせて、キッと男を睨みつけた。
「ライアスさまが好きで帝王のもとへ行ったと思うのかっ!?貴様らのような下衆な奴らにライアスさまの高貴なお心がわかるものかっ!!」
最初のコメントを投稿しよう!