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しおらしい表情で帝王の意のままになることを無言のうちに示したライアスを見て、帝王は露骨に不機嫌な顔をした。
苛立ったように、乱暴に鎖を引く。
「っ!」
ふいを突かれて、ライアスはバランスを崩し、帝王の胸に倒れこんだ。
首輪がきつく喉にくいこみ、息が詰まる。
少年の華奢な肢体を腕に抱きとめ、帝王は冷たい指をライアスの顎にかけてすくいあげるように上を向かせた。
冴え冴えとした双の瞳に、抑え切れぬ賛辞が滲む。
「……美しい。いばらの妖精族はみな、このように肌が白くなめらかなのか?」
長い睫をかすかに震わせて、ライアスは声もなく帝王をみつめ返した。
不安気に青い瞳を揺らし、薔薇色の唇をほんの少し開いたその顔は、ひどく可憐で儚気だった。
帝王の言うように……物心ついた頃からほめそやされてきたように、ライアスはこの上もなく美しかった。
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