716人が本棚に入れています
本棚に追加
光の雫をまとわりつかせたかのような淡雪のごとき肌に、きらめくブロンド。
繊細さと華やかさをあわせもつライアスの美貌は、美少年揃いのいばらの妖精族の中でも群を抜いていた。
美の女神に寵愛された者のみが持つ比類なき美貌を、ライアスはその身に備えていた。
けれども、ライアスが兄王をはじめ宮廷に仕えるすべての者に愛され、可愛いがられてきたのは、たぐい稀な美貌ゆえではなく、天使のように無邪気で優しい性格のためだった。
人を疑うことを知らず、誰にでもすぐになつき、心を許してしまう。
そんなライアスを、王宮に集う誰もが愛した。
16才という年齢よりもライアスが若干幼く見えるのは、その無垢な心根ゆえかも知れない。
美しい王宮で善意に満ちた人々に囲まれて過ごし、ライアスは人に悪意をぶつけられたことなどなかった。
人の心に悪意や憎悪があることすら、知らなかった。
あの日、帝王がいばらの妖精国に乗り込んでくるまでは。
最初のコメントを投稿しよう!