第2章

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光の雫をまとわりつかせたかのような淡雪のごとき肌に、きらめくブロンド。 繊細さと華やかさをあわせもつライアスの美貌は、美少年揃いのいばらの妖精族の中でも群を抜いていた。 美の女神に寵愛された者のみが持つ比類なき美貌を、ライアスはその身に備えていた。 けれども、ライアスが兄王をはじめ宮廷に仕えるすべての者に愛され、可愛いがられてきたのは、たぐい稀な美貌ゆえではなく、天使のように無邪気で優しい性格のためだった。 人を疑うことを知らず、誰にでもすぐになつき、心を許してしまう。 そんなライアスを、王宮に集う誰もが愛した。 16才という年齢よりもライアスが若干幼く見えるのは、その無垢な心根ゆえかも知れない。 美しい王宮で善意に満ちた人々に囲まれて過ごし、ライアスは人に悪意をぶつけられたことなどなかった。 人の心に悪意や憎悪があることすら、知らなかった。 あの日、帝王がいばらの妖精国に乗り込んでくるまでは。
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