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新緑の香る美しい森を、ひとりの騎士がゆったりした歩調で歩いていた。
まだ少年と言っていい年頃だ。
線の細い少女めいた顔立ちは16、7といったところだが、一見無造作に見えて一分の隙もない物腰は熟練した剣士のように思えた。
透き通るように白いみずみずしい素肌は、乙女のようにキメが細かくなめらかだ。
額を隠してふわりと目もとにかかるブロンドの髪が、少年のあでやかな美貌をいっそう際立たせている。
長く揃った睫もスッと細い鼻粱も小さな薄い唇も可憐な雰囲気を漂わせ、異性のみならず同性の心をも虜にしてしまいそうな中性的な美しさを誇っていた。
しかし、涼し気なアメジストの瞳は射るように鋭く、きつい光をたたえている。
華奢な肢体に純白の騎士の衣装をまとい、真っ赤なローブをはおっていた。
腰に帯びた金細工の剣は、ほっそりした体躯にあわせて細身の造りだ。
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