第2章

8/29
前へ
/236ページ
次へ
あえぎながら、ライアスは眼差しをあげて帝王を見た。 満足気な微笑を唇に刻んで、帝王はライアスをみつめていた。 切れ長の瞳には、激しい憎悪が燃えている。 帝王がいかに自分たちいばらの妖精族を憎んでいるかを、灼けつくような激痛の中でライアスは悟った。 そして、その憎しみの根底にあるのが深い哀しみだということも、むろんライアスにはわかっていた。 帝王が自分を憎み、酷い仕打ちをすればするほど、やるせのないその哀しみがひしひしと伝わってきて、ライアスは深い自責の念にかられるのだった。 (お気の済むようになさってください……それで、帝王さまのお気持ちが少しでも晴れるのなら……!) 自分は何をされてもいいと、ライアスは思った。 「やれ。もっとだ」 帝王が低く命じると、再び鞭がふり降ろされる。 ビシィッ!!ビシィッ!!ビシィッ!! 「あっ!!あうっ!!ああっ!!」 続け様に背中を襲う激痛に、ライアスは美しい顔を歪めて身悶えた。 激痛のあまり、息も満足にできない。 もがくたびに枷がきつく手首にくいこみ、鎖がじゃらじゃら鳴った。
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!

716人が本棚に入れています
本棚に追加