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あえぎながら、ライアスは眼差しをあげて帝王を見た。
満足気な微笑を唇に刻んで、帝王はライアスをみつめていた。
切れ長の瞳には、激しい憎悪が燃えている。
帝王がいかに自分たちいばらの妖精族を憎んでいるかを、灼けつくような激痛の中でライアスは悟った。
そして、その憎しみの根底にあるのが深い哀しみだということも、むろんライアスにはわかっていた。
帝王が自分を憎み、酷い仕打ちをすればするほど、やるせのないその哀しみがひしひしと伝わってきて、ライアスは深い自責の念にかられるのだった。
(お気の済むようになさってください……それで、帝王さまのお気持ちが少しでも晴れるのなら……!)
自分は何をされてもいいと、ライアスは思った。
「やれ。もっとだ」
帝王が低く命じると、再び鞭がふり降ろされる。
ビシィッ!!ビシィッ!!ビシィッ!!
「あっ!!あうっ!!ああっ!!」
続け様に背中を襲う激痛に、ライアスは美しい顔を歪めて身悶えた。
激痛のあまり、息も満足にできない。
もがくたびに枷がきつく手首にくいこみ、鎖がじゃらじゃら鳴った。
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