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散々ライアスを鞭で打ってから、帝王はいったん拷問をやめさせ、ゆっくり歩み寄ってきた。
ライアスの髪を乱暴にわし掴みにして、苦痛にあえぐあでやかな美貌を愉し気にのぞきこむ。
「言ってみろ、ライアス。今の気分を……」
「……帝王さま……」
息も絶え絶えにあえぎながら、ライアスは激痛に霞む眼差しを帝王に向けた。
これほど酷い仕打ちを受けてもなお、ライアスの心にあるのは帝王を痛ましく思う気持ちと深い自責の念だけだった。
「……申し訳……ありませ……」
謝って済むことではない。
謝ったところで、帝王の怒りと憎しみを煽るだけだとわかっている。
それでも、ライアスは謝らずにはいられなかった。
「…………っ!」
案の定、帝王の顔が怒りにひきつり、まなじりが険しく吊りあがった。
「詫びれば済むと思うのかっ!?詫びれば、あいつが還ってくると思うのかっ!?」
片手でライアスの髪を掴んだまま、帝王はもう片方の手で首輪の鎖を強く引いた。
首輪がきつく喉にくいこみ、息ができない。
「うっ……!……ううっ……!」
苦しさに顔を歪めて、ライアスはもがいた。
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