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「まったくライアスは世話が焼けるな。いくつになっても子供で困る」
城の最上階の部屋からきらめく海を見降ろし、セレオスはからかうように言った。
「兄上はすぐ、そうやって僕を子供扱いするんだから……」
ライアスは少し拗ねて、上目遣いに兄を見た。
微笑を含んだ瞳でふりむき、セレオスは包みこむようにライアスをみつめた。
どきりとするような、優しい眼差しだった。
「そんなおまえだから、放っておけぬ。おまえから離れられないのは私の方かも知れぬ」
「兄上……」
温かい気持ちが胸にひろがっていくのを、ライアスは感じていた。
このお気に入りの部屋で最愛の兄と過ごすひとときが、ライアスは好きだった。
大理石と孔雀石でできた豪奢な部屋は開放的な造りで、幅の広いアーチ型の窓からバルコニーへ出られるようになっていた。
ふいに。
階下が騒がしくなり、争うような怒鳴り声と入り乱れる靴音が響き、白亜の扉が荒々しく蹴破られた。
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