第2章

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驚いて息を呑んだライアスの目に、猛々しい歩調で部屋に入ってきた長身の人影が映った。 背に流れる漆黒の髪に、冷たく整った顔立ち。 射抜くように鋭い、切れ長の瞳が印象的だ。 白い美貌に不遜な覇気がみなぎり、しなやかな長身の肢体からは若さに似合わぬ威厳が漂っている。 シルクのローブと絢爛たる衣装を見るまでもなく、どこぞの王らしいと察しがついた。 数瞬遅れて、セレオスの腹心の家臣たちと見知らぬ騎士団が何事か争いながら、部屋になだれこんできた。 「おまえがいばらの妖精王か」 つかつかとセレオスに歩み寄り、王族らしき男が高飛車な口調で言った。 黒々とした瞳は憎悪に燃え、すらりとした長身の肢体からは怒りのオーラが立ち昇っている。 その迫力に気(け)おされて、ライアスは身じろぎもできずに凍りついていた。 弟の肩を庇うように抱いて、セレオスがまっすぐ男の目をみつめて静かに口を開いた。 「そうですが、貴公は?」
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