第2章

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「俺はアスラン帝国の王ジュリアードだ。いばらの妖精王国を滅ぼしに来た」 叩きつけるように言った男の言葉に、ライアスは愕然と息を呑んだ。 アスラン帝国といえば、大陸随一の武力と栄華を誇る中央の大国だ。 アスラン帝国の若き王は人間の王国のみならず、さまざまな妖精族をも配下につけ、獰猛な幻獣さえも意のままに操るという。 アスラン帝国に服従を誓う妖精の王国は数知れず、その中には攻撃の魔法を駆使する妖精族も多い。 人間の属国とあわせれば、アスラン帝国の軍事力ははかり知れず、太刀打ちでき得る国はこの大陸には存在しなかった。 いばらの妖精王国は、ほとんど武力を持たぬ弱小国。 アスラン帝国に攻め入られたら、たちどころに滅びてしまう。 ライアスは、蒼白になった。
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