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話を聞いて、ライアスは呆然となった。
まさに、晴天の霹靂(へきれき)だった。
想像だにしていなかった事実に、セレオスも蒼ざめた顔で返す言葉もなく立ち尽くしている。
「いばらの妖精姫もいばらの妖精王国も憎い。今すぐにでも攻め滅ぼしてやりたいところだが……」
異様な熱を帯びた瞳でライアスをみつめ、帝王は意味深な表情で言葉を切った。
「ここへ乗り込んできて気が変わった。条件次第では助けてやってもいい」
「何なりと、おっしゃってください」
間髪置かず、セレオスが叫ぶように言った。
すがるような眼差しを帝王に向け、一族を助けようと必死になっている様子だった。
熱い視線をライアスに絡めたまま、帝王は残酷な微笑を唇に刻んだ。
「その綺麗な王子はおまえの弟か?」
ライアスとセレオスは、顔立ちが似ている。
ライアスが身につけている豪華な衣装とティアラ、それにライアスを庇ったセレオスの仕草から、ふたりが兄弟だと帝王は見抜いたようだった。
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