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「ならぬっ!!絶対に行かせぬ!!」
ライアスをいっそう強くかき抱いて、セレオスは叫んだ。
骨も砕かんばかりに抱きしめられて、ライアスは痛みにあえいだ。
「我々も同じ気持ちですっ!!」
「ライアスさまをアスラン帝国には渡しません!!」
「ライアスさまを犠牲にしてまで生き延びようとは思いません!!」
重臣たちも、口々に叫んだ。
(みんな…………)
ライアスは、胸が熱くなった。
「離してください、兄上。兄上が何と言おうと僕はアスラン帝国に参ります」
セレオスの胸に両手をつっぱり、ライアスは身をよじってもがいた。
だが、力では兄にかなわない。
「だめだっ、ライアスッ!!そんなことは許さぬっ!!」
ふいに、帝王が笑い出した。
「何がおかしいんですっ!」
ライアスを抱きしめたまま、セレオスが顔をあげてキッと帝王を睨みつけた。
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