第2章

27/29
前へ
/236ページ
次へ
意外な言葉に、セレオスは眉をひそめて探るように帝王をみつめた。 ライアスも、兄の肩越しにおずおずと帝王の怜悧な美貌を見た。 「ひと月以内におまえたちの宝を俺の城に届けろ。無事、家宝を届けることができたら、弟を返してやる」 拍子抜けした表情で、セレオスは「え……」と小さく声を漏らした。 (それだけ……?) 意外な思いにとらわれて、ライアスも無防備に美しい目をみはった。 ふたりの顔は、しかし、次の瞬間凍りついた。 「むろん、それを阻止すべく帝国の精鋭部隊を派遣する。帝国の精鋭騎士だけじゃなく、あらゆる妖精騎士がおまえたちの使者を狙う。無事に帝国の城に辿り着ける可能性は万にひとつもない」 ニヤリと片方を歪め、帝王は底意地の悪い表情でつけ加えた。
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!

716人が本棚に入れています
本棚に追加