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「どうした?臆したのか?いばらの妖精に攻撃の魔法は使えぬはずだ。その腰の剣は飾りか」
リーダーらしい正面の騎士が、嘲るように言った。
屈強な体躯の騎士団の中でも、ひときわ大柄な体つきをしている。
「おとなしく例の物を渡せば手荒な真似はしない。城に連れ帰り、俺たちのやり方でたっぷり歓待してやる」
ひどく淫らな笑みを口もとに浮かべて、男は勝ち誇った表情で告げた。
「烏合の衆がたいそうな口をきく。片腹痛いわ」
涼し気なアメジストの瞳を挑発的にきらめかせて、少年はふっと冷笑した。
生意気な表情を浮かべていても、咲き誇る白薔薇のようなあでやかな美貌は微塵も損なわれておらず、なおいっそうの輝きを増して眩いばかりの魅惑を放っていた。
「何だとっ!?」
「言わせておけば……!」
「このガキ、叩き斬ってやる!!」
どす黒い怒りをいかつい顔にたぎらせて、男たちがいっせいに殺気立つ。
今にも、少年に斬りかからんばかりの勢いだ。
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