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帝王にやめさせる……!?
その言葉には異を唱えたかったが、それよりも、ライアスはジェルジュの素性に強く興味を引かれた。
帝王に進言することができるなんて、彼は一体何者なんだろう。
帝王を呼び捨てにし、対等な口をきいていたことから、帝王とかなり親しい間柄らしいと察しがついていたけれど……
物問いた気なライアスの視線に気づいたらしく、ジェルジュはライアスをみつめて低く口を切った。
「僕はジュリアードの従弟だ。隣国に住んでいる」
「従弟……」
ぼんやりジェルジュをみつめ返し、ライアスは小さくつぶやいた。
「君の言葉を借りるなら、ジュリアードの罪は僕の罪だ」
ジェルジュの瞳は真摯なきらめきを帯びて、一点の翳りもない。
清廉で正義感の強い彼の性格を、そのまっすぐな眼差しから感じとることができた。
「そんな……!……罪だなんて……!」
ライアスはますます戸惑って、困惑気味に瞳を揺らした。
「帝王さまは……僕を……罰している……だけです……」
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