Episode1 サクライロデイズ

22/27
前へ
/33ページ
次へ
「まあ、そうだよな」 先生は困ったように笑いながら周りを見渡した。 少し前に予鈴が鳴ってたからか、他に生徒の姿はない。 「俺も健に聞いてなかったから、転入先が高千里って聞いてかなり驚いたんだ」 先生が、はじめて会った時のことを言ってるのは、すぐにわかった。 「で、でも、だったらあの時、教えてくれれば良かったじゃないですか」 じっと睨むふりをすると、先生は悪戯っぽく笑った。 「早乙女の驚く顔が見たかったんだよ」 「なんて人が悪いんだ……」 さわやかな雰囲気な先生と、癖のある変わり者なお兄ちゃんの組み合わせが不思議だったけど、どうやら先生も一筋縄じゃいかない性格の持ち主みたいだ。 「といっても、まさか俺も担任になるとは思わなかったんだけどね。また健に睨まれそうだなぁ」 先生は冗談っぽく言いながら、いつの間にか着いていた2年7組の教室のドアに手をかけた。 「……じゃあ、そろそろいこっか。転校生を見たら、クラスの男子が喜びそうだ」 .
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

411人が本棚に入れています
本棚に追加