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「まあ、そうだよな」
先生は困ったように笑いながら周りを見渡した。
少し前に予鈴が鳴ってたからか、他に生徒の姿はない。
「俺も健に聞いてなかったから、転入先が高千里って聞いてかなり驚いたんだ」
先生が、はじめて会った時のことを言ってるのは、すぐにわかった。
「で、でも、だったらあの時、教えてくれれば良かったじゃないですか」
じっと睨むふりをすると、先生は悪戯っぽく笑った。
「早乙女の驚く顔が見たかったんだよ」
「なんて人が悪いんだ……」
さわやかな雰囲気な先生と、癖のある変わり者なお兄ちゃんの組み合わせが不思議だったけど、どうやら先生も一筋縄じゃいかない性格の持ち主みたいだ。
「といっても、まさか俺も担任になるとは思わなかったんだけどね。また健に睨まれそうだなぁ」
先生は冗談っぽく言いながら、いつの間にか着いていた2年7組の教室のドアに手をかけた。
「……じゃあ、そろそろいこっか。転校生を見たら、クラスの男子が喜びそうだ」
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