Episode1 サクライロデイズ

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教室中の視線が前に集まっている。 席が男女交互に並んでるのはわかったけど、ひとりひとりの顔を見るほどの余裕はなくて、わたしはドアの前でじっとうつむいていた。 「もう知ってると思うけど、去年に引き続き俺が7組の担任になったから。また一年間よろしくな」 先生のその言葉に、思い思いの声が上がっていく。 目立って聞こえるのは、女子の嬉しそうな声。 先生の整った顔をちらりと見ると、女子の黄色い声を涼しい表情で受け止めている。こういう感じに慣れてるみたいだ。 なんていうか…うん、わかる気はするけど。 わたしは「けほん」なんて小さく咳をして、慌ててうつむき直した。 それはともかく、先生の口ぶりだと、クラスは1年の時の持ち上がりだったみたいだ。 そういえば、そのへんのことって奈央には聞いてなかった気がする。 クラス替えの時期に転入なら、ちょっとでも馴染みやすいかと思ってたけど……、なかなか前途多難な感じかもしれない。 せ、せめて奈央がいるかどうかだけでも確認したいんだけど……無理だ……。 うう…、なんかへんな汗が……。
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