Episode1 サクライロデイズ

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教卓の前では先生の話がまだ続いている。 先生が「それで……」なんて、いったん言葉を区切ると、ドアの前に立ったままだったわたしに手招きした。 「今日からこのクラスに入ることになった、早乙女美波さんだ」 「やっぱり美波かよ!」 先生のさわやかな声に被さるように、やたらうわずった男子の声が聞こえた。 少し遅れてガターンと椅子が倒れる大きな音が教室の中に響き渡る。 「え?」 驚きで顔を上げると、後ろの方に呆然と立ち上がってる男の子がいた。 ラフにセットしたダークブラウンの髪に、黒のセルフレームのメガネ。 スポーツマンぽいちょっと精悍な顔つきで……。 どっかで見たことあるような気がするけど、誰だっけ? 首を傾げたわたしを見て、その男の子はガクッと大げさに肩を落とした。 「おまえ、その反応はねぇよ……」 「滝沢(たきざわ)は早乙女のことを知ってるみたいだな。……早乙女は、中1まで高千里市にいたんだ。って言っても高千里学園の中ではわからないことばかりだろうし、みんな色々教えてあげるように」 先生の声にまばらに返事があがっていく。 その中に手をひらひら振っている奈央を見つけて、私は思わず手を振り返してしまった。
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