もう一人

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もう一人

もやもや…。 ばくばく…。 ふわふわとする。 眠れない…。 眠り、抑えつけられたもう一人…。 光、音、刺激を受ける度にもう一人がドアを叩く。感情が動く度に体の奥深くから大きな音。 分かっている。出してあげたい。でも、出してもいいのか?築いてきたものが壊れてしまいそうな不安…。 また今日も鼓動が大きくなる。もう一人が苦しんでいる。胸がざわめき始める。 自分自身の中にいるもう一人。芽吹きたい思いを胸に、咲かせたい冬のつぼみのように、今日ももう一人が叩く。 騙して、抑えつけてきた自分が限界だと呟く。 胸がざわめきを加速させる。頭の中が真っ白になって、硬直する体。 早く咲いて、冬を抜けたい。 その思いが強くなる。もう春なのに…。
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