序章

10/16
前へ
/48ページ
次へ
手を前に振りかざす……すると、白銀の杖が現れ、普段見慣れた服だったものが、この世の物とは思えない純白のドレスへと変わってゆく… レイスは母親のあんな姿を見たことはない。 驚き、戸惑いの言葉よりも先に出たのは…… 「きれ…い……」 その一言に尽きた。 ルナティはスタスタと兵士の集団へと近づいてゆく。 兵士の一人がそれに気付く。 「なんだ?あれは…天使…??」 厳つい顔をした兵士が、気づいた兵士の頭を小突く。 「バカ。天使なんている訳ねぇだろ。」 ルナティは兵士たちへと杖を振りかざすとこう叫んだ。 「出て行け。この森は貴様らのような野蛮な輩が来るような土地ではない!大人しく出て行けば、危害は加えない」 まるでそれはこの森の守り神のような言葉であった。 「ククク……アッハハハハハッ」 もう一人の若い兵士が笑い始める。 まるで生き物を虚仮にするような、そんな笑い声で。 「お前バカじゃねぇの?この人数を一人で倒すってか?」 バカにした表情から一気に冷酷な表情へと変わる。 その手には銃が携えられていた。 母親へと銃口を向ける…。 レイスが声を上げようとするがいきなりの事に声が出ない。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加