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「がっ…かはっ…ぐっう……」
兵士たちは苦しみの声をあげる…。
「が…グ…くっそ…がぁぁぁッッ!!」
先程の厳つい顔をした兵士が立ち上がろうとする。
だが…時は既に遅かった。
兵士の苦しみに終止符を打つように…
母親は叫んだ。
「雷にその身を裁かれん!ライジンッ!」
兵士たちに雷撃が降り注ぐ。
「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁ!?」
断末魔が響く…。
兵士たちから黒煙が上がっていた。
それを見たレイスが一目散に此方へと走り、ルナティに尋ねた。
「こ…殺しちゃったの?みんな。」
ルナティは笑顔を見せる。
「大丈夫。殺してはいないよ。ただ気絶してるだけ。あ、念のため、拘束魔法だけはかけておこうかな…」
レイスが、ほっ…と胸を撫で下ろす。
しかしその表情は曇ったままだった。
そして口を開く。
「ねぇ…母さん。戦争ってこんな風な人たちと争わなきゃならないの…?僕、また母さんが危ない目に遇うのは嫌だよ!」
レイスは泣きそうになりながらルナティへと訴えてきた。
──我慢の限界だった。
これ以上レイスを怖がらせたくない。
ルナティはレイスを抱き締める。
──この身が滅びようが何をされようが関係ない。
───戦争を終わらせよう。
ルナティはゆっくり立ち上がると、レイスの頭を撫ぜた。
まるでこれが最期になるかのように。
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