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そして、暫くの沈黙が続く。
ルナティはレイスと──愛する息子との、最期になるであろうこの一時を名残惜しんでいた。
いつもしているこの頭を撫でることさえ愛しく、ずっとしていたいと思った。
レイスは気付いているのだろうか。
いつもと撫で方が違うことに。
母親はゆっくりとレイスの目の前にしゃがむと、真っ直ぐ目を見てこう言った。
「…レイス。母さん、この戦争終わらせてくるね。」
レイスはそれを聞くと、母親の服を乱暴に掴み、泣き叫んだ。
「やめてよ!母さん一人でなんて絶対、絶対に無理だよ!!!確かに母さんは強いよ!けれど、こんな大陸全土を揺るがす程の戦争なんて、母さんだけで終らせられる訳が──」
ルナティはレイスの言葉を遮るようにこう言った。
「母さん、『化け物』なんだ。自分の生まれた故郷の村を…国の半分を…魔法で消してしまったの。跡形もなく。」
レイスは絶句した。
──こんなに優しい母さんが『化け物』……?国半分を消す程の…?
レイスが黙っている間に母親は話を続ける。
「それと…もう1つ。貴方のお父さんは亡くなっているの。ずっと隠していてごめんなさい。でも…貴方を悲しませたくなかったの。だから…」
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