第一章 賑やかなある日。

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──とりあえず…シャワー浴びて、寝癖直すか…。 俺はベッドから出ると、フラフラとおぼつかない足取りで浴室へと向かう。 ──完全に寝惚けていた。 「ぅー…ん……ぎゃんッ!?」 脱衣場のドアに尻尾を挟めてしまった… 今ので完全に目が覚めた。 「いっ…ぐ…ぃ…ひぃ…ッ…!」 あまりの痛みに脱衣場の中を転げ回る。 なんでそんな痛がるの?と疑問になる人もいるだろうから、説明しておこう。 獣人にとって尻尾とは弱点だからである。 尻尾には感覚神経が集中しており、触られただけでも暫く動けなく奴も居るほど…。 そんなものを挟めたりすると… もうお分かりだろう。 大分痛みが収まるまで幾分か時間が掛かったが、無事シャワーまでたどり着いた。 シャワーに入っている間、レイスはあの戦争の事を整理していた。 あの戦争を起こしたのは、ヴェルテ皇国。 大陸屈指の大国だ。 その国が、自軍の領地拡大のために辺りの国を武力制圧し始めたことが原因だった。 あの森のあった国も例外ではなかった。 制圧された国の国民はとことん酷い扱いや、残虐な殺し方をされたらしい。 その戦争が終わったのは10年前の…あの日だ。
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