第一章 賑やかなある日。

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『皇国軍は悪しき力ふるいて国を奪い、大陸を揺るがした。だが天使が舞い降り、皇国軍を一撃で壊滅まで追い込み、二撃で根元を滅し、三撃で皇国自体を消した。』 これはあの戦争についてのある伝記の一節だ。 恐らく、天使とは母さんの事だろう。 しかし、これにはまだ続きがある。 『天使はその後、何処かへ消えていった。その行方は誰も知らない。』 と、いうことは…だ。 シャワーから上がり全身の水気を取ると、準備しておいた服を着る。 そして呟いた。 「母さんは生きている!」 いや、正確には生きているかもしれない…か。 脱衣場から出ようとするとドタドタと走る音が… 「来たか…」 大きく溜め息をつくと、脱衣場を出て左にあるドアへと聞き耳をたてる。 ───音が近付いてきた。 すぐさまドアから離れ、死角へと身を潜める。 「レェェイスゥゥゥゥ!」 勢いよくドアが開いた。 そこから素早く『謎の物体』が飛び込み…そのまま正面にある、俺が寝ていたベットへと突っ込んだ。 「……あれ?レイスー…?」 突っ込んだ隙に逃げようとした俺の足が止まる。 「お…おはy」 こちらが挨拶するより早くソイツが抱きついてきた。
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